
重度歯周病治療に対応 〜 歯周病専門医による重度歯周病治療
院長より

歯周病(歯槽膿漏)は、日本人の成人の約80%が罹患しているとされる国民病であり、初期段階ではほとんど自覚症状がないため、気づいたときにはすでに進行しているケースが多く見られます。特に、重度歯周病(Stage III・IV)では、歯周ポケットの深さが6mm以上になり、歯を支える歯槽骨が大幅に吸収され、歯の動揺や自然脱落が起こる危険な状態です。
また、近年の研究では、重度歯周病は糖尿病・心血管疾患・誤嚥性肺炎・骨粗鬆症などの全身疾患と深く関係していることが明らかになっています。そのため、単なる口腔内の病気としてではなく、全身の健康に直結する重要な疾患として適切な治療が求められるのです。
当院では、日本歯周病学会認定の「歯周病専門医」による高度な治療を提供し、重度歯周病の改善と歯の保存を目指します。このページでは、重度歯周病の特徴・原因・治療法・最新の再生療法・予防策について、専門的な視点から詳しく解説します。
1. 重度歯周病の特徴と診断基準
① 重度歯周病(Stage III・IV)の診断基準
歯周病は、その進行度に応じて4つのステージ(Stage I~IV)に分類されます。重度歯周病はStage IIIまたはStage IVに該当し、以下のような症状が特徴です。
分類 | 特徴 | 治療法 |
---|---|---|
Stage I(軽度歯周病) | 歯肉の炎症・出血・歯周ポケット3~4mm | スケーリング・ブラッシング指導 |
Stage II(中等度歯周病) | 歯槽骨の吸収(30~50%)・歯周ポケット4~5mm | SRP・歯周ポケット掻爬 |
Stage III(重度歯周病) | 歯槽骨の吸収(50%以上)・動揺度2度・歯周ポケット6mm以上 | 歯周外科手術・再生療法 |
Stage IV(末期歯周病) | 歯の動揺度3度・咬合異常・複数歯の喪失 | 抜歯・インプラント・義歯 |
② 重度歯周病の主な症状
- 歯ぐきの腫れ・出血が慢性的に続く
- 歯がグラグラと動き、噛みにくい
- 口臭が強くなる(歯周ポケット内の細菌の増殖)
- 歯ぐきが下がり、歯根が露出する
- 歯ぐきから膿が出る(歯周膿瘍)
- 歯が自然に抜け落ちることがある
2. 重度歯周病の主な原因
① 歯垢(プラーク)・歯石の蓄積
歯周病の直接的な原因は、細菌が集まって形成される「バイオフィルム」です。バイオフィルムが歯周ポケット内に蓄積し、慢性的な炎症を引き起こすことで、歯槽骨が破壊されます。
② 歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)
- 過剰な咬合力が歯周組織に負担をかけ、骨吸収を加速させる
- 重度歯周病患者では、ナイトガードの装着が推奨される
③ 糖尿病との関係
- HbA1c値が高いと、歯周病治療の効果が低下
- 歯周病を治療することで、血糖コントロールが改善する可能性がある
3. 歯周病専門医による重度歯周病治療
① 歯周外科治療
- フラップ手術(歯肉剥離掻爬術):歯ぐきを剥離し、歯根に付着した歯石・感染組織を除去
- 歯周ポケット減少手術:深いポケットを浅くし、細菌の繁殖を抑える
② 歯周組織再生療法
- エムドゲイン®(Emdogain):歯周組織の再生を促すタンパク質を適用
- GTR法(Guided Tissue Regeneration):メンブレン(人工膜)を用いて骨の再生を誘導
- リグロス®(Fibroblast Growth Factor):FGF-2製剤を使用し、骨や歯周組織の再生を促進
③ 動揺歯の固定(スプリント療法)
- 動揺した歯を固定し、咬合力の負担を軽減
- 保存可能な歯をできる限り延命させる治療法
4. 重度歯周病の予防とメンテナンス
① 定期的なGBTメインテナンス
- EMSエアフローを用いたバイオフィルム除去
- 歯周ポケットの深部までクリーニング
② オーダーメイドのセルフケア指導
- 患者ごとのリスク評価に基づいたブラッシング指導
- デンタルフロス・歯間ブラシの適切な使用法を指導
5. まとめ ~ 歯周病専門医による重度歯周病治療の重要性
「歯ぐきが腫れている」「歯がグラつく」「歯周病が進行している」と感じる方は、ぜひ当院の歯周病専門医にご相談ください。