
金属の詰め物・被せ物 ~ アマルガムやパラジウム合金などの害や海外における規制の動き

アマルガムとは? ~ 歴史と健康リスク
アマルガムの成分と特徴
アマルガム(Dental Amalgam)は、歯科用合金の一種で、水銀(Hg)を約50%含むことが特徴です。その他の成分として、銀(Ag)、スズ(Sn)、銅(Cu)などが含まれています。特に耐久性が高く、強い咬合力にも耐えられるため、かつては歯科治療において広く使用されていました。
- 耐久性が高く、咬合力に耐えられる
- 安価で加工しやすい(保険診療で広く使用されてきた)
- しかし、水銀が揮発しやすく、人体への影響が懸念される
アマルガムの健康リスク
アマルガムの最も大きな問題は、水銀の揮発による健康リスクです。水銀は微量ながら蒸発し、体内に蓄積されることで神経系や免疫系に影響を及ぼす可能性があります。特に妊婦や小児では影響が大きいとされ、海外では使用が厳しく制限されています。
- 水銀が微量ながら蒸発し、体内に蓄積
- 神経毒性があり、慢性疾患(頭痛・倦怠感・集中力低下)との関連が指摘されている
- 特に妊婦や小児では、中枢神経系への影響が大きい可能性
- 咀嚼時や熱い飲み物の摂取で、微量の水銀蒸気が発生する
海外におけるアマルガムの規制
近年、アマルガムは世界的に使用を控える流れになっています。欧州連合(EU)では2025年までにアマルガムの使用を全面的に禁止することが決定され、スウェーデンやノルウェーなどではすでに使用が禁止されています。アメリカのFDA(食品医薬品局)も、妊婦や小児、腎疾患患者への使用を推奨しない方針を発表しています。
- EU(欧州連合):2025年までにアマルガムの全面使用禁止を決定
- スウェーデン・ノルウェー・デンマーク:すでにアマルガムの使用を禁止
- アメリカ(FDA):妊婦・小児・腎疾患患者に対してアマルガム使用を推奨しないガイドラインを発表
- WHO(世界保健機関):アマルガムの段階的廃止を推奨し、セラミックやコンポジットレジンへの移行を推奨
金銀パラジウム合金(銀歯)の問題点
金銀パラジウム合金の成分
日本の保険診療で広く使用される金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯)は、金12%、パラジウム20%、銀50%、銅15%、その他の微量元素を含む合金です。日本では安価で強度があることから一般的に使用されていますが、欧米ではほとんど使われていません。
- 比較的安価で強度があるため、日本の保険診療で一般的
- しかし、パラジウムの影響で金属アレルギーが発症したり、活性酸素が発生して体調不良の原因となることがある
パラジウムの健康リスク
パラジウムは、金属アレルギーの原因として知られており、長期間の使用で金属イオンが溶け出し、体内に蓄積する可能性があります。特に、皮膚炎・口腔粘膜炎・倦怠感・頭痛などの症状を引き起こすことが報告されており、欧州の化学物質規制(REACH規則)でも制限対象となっています。
- 金属アレルギーの原因物質として認識されている
- 長期間の使用で金属イオンが溶け出し、体内に蓄積する
- 皮膚炎・口腔粘膜炎・倦怠感・頭痛などの症状を引き起こす可能性
- パラジウムは欧州の化学物質規制(REACH規則)で制限対象とされている
海外におけるパラジウムの規制
パラジウムの健康リスクが懸念されることから、欧州では歯科用途での使用を推奨しない方針が取られています。ドイツではパラジウム合金を使用しない歯科治療が推奨されており、アメリカではセラミックやジルコニアなどのメタルフリー治療への移行が進んでいます。
- EU(欧州連合):パラジウムはアレルギーリスクが高いため、歯科用途での使用を推奨しない
- ドイツ:パラジウム合金を使用しない歯科治療を推奨
- アメリカ:パラジウム合金の代わりに、セラミック・ジルコニア・コンポジットレジンを主流とする治療へ移行
まとめ ~ アマルガム・パラジウム合金からの脱却へ
- アマルガムは水銀を含み、神経毒性が指摘されており、EUでは全面禁止の流れ
- 金銀パラジウム合金は金属アレルギーのリスクがあり、欧米ではほとんど使用されていない
- 海外ではメタルフリー治療が主流になりつつあり、日本でも保険適用の範囲が拡大
- 審美性・安全性・耐久性を考えると、メタルフリーの選択が推奨される
「海外ではすでに規制されている金属を使用し続けるのではなく、メタルフリー治療へ移行することが、より安全で長持ちする治療につながる」という考えが広まっています。
現在は日本で治療に使用されることはありませんが、過去の治療でアマルガムが使われている場合には、除去をおすすめしています。