
虫歯治療

虫歯とは ~ 日本人の歯を失う原因の一つ
虫歯(う蝕)は、歯の表面が細菌によって酸で溶かされる疾患であり、日本人の歯の喪失原因の第2位に挙げられています(第1位は歯周病)。虫歯は放置すると進行し、最終的には抜歯が必要になるケースもあるため、早期発見と適切な治療が極めて重要です。
虫歯の発生率は年齢とともに変化し、特に子どもでは乳歯や生えたばかりの永久歯に虫歯が発生しやすく、大人では歯の根が露出することで起こる根面う蝕(ルートカリエス)が問題になります。また、高齢になると、唾液の分泌量の減少や、歯周病による歯の揺れが原因で、虫歯のリスクが高まる傾向にあります。
日本人の歯の喪失原因(厚生労働省調査)
- 歯周病(約40%)
- 虫歯(約30%)
- 破折(約10%)
このように、虫歯は歯を失う大きな原因の一つであり、予防と早期治療が重要であることが分かります。
なぜ虫歯ができるのか?
虫歯は、歯の表面についた歯垢(プラーク)に、虫歯をつくるミュータンス菌が棲みつき、糖分を栄養にして酸を出します。この酸は歯の表面の硬いエナメル質を溶かし、その部分に穴をあけます。こうして虫歯が進行していきます。虫歯を放置していると、エナメル質を溶かし、象牙質を溶かし、神経へと進行していきます。放置をし続けると、抜歯が必要になってしまいます。虫歯は放置せず、歯科医院に行きましょう。
脱灰と再石灰化
飲食後、エナメル質が溶かされるという事を「脱灰」」といいます。唾液により溶かされた部分を元にもどそうとする働きを「再石灰化」といいます。この脱灰と再石灰化が同じだけ行われている場合、虫歯はできません。しかし、間食などで、飲食の回数が多くなり、口腔内が酸性になる時間(脱灰の時間)が多くなると、再石灰化が十分に行われず、虫歯ができやすくなります。
虫歯の進行と治療
虫歯は進行度によってC0からC4の5段階に分類されます。それぞれの段階で治療法が異なるため、早期に発見し、適切な処置を行うことが大切です。
C0(初期虫歯) ~ 再石灰化が可能な段階
- 症状:歯の表面が白濁するが、穴は開いていない
- 治療法:フッ素塗布や適切な歯みがきで再石灰化を促す
- ポイント:この段階では、適切なケアで虫歯の進行を止めることが可能
C1(エナメル質の虫歯) ~ 痛みはないが、削ることもある
- 症状:エナメル質に穴が開くが、痛みは感じにくい
- 治療法:レジン(コンポジットレジン)による修復が可能
- ポイント:適切な管理がされないと、C2へ進行しやすい
C2(象牙質の虫歯) ~ 冷たいものがしみる
- 症状:虫歯が象牙質まで達し、冷たいものや甘いものがしみる
- 治療法:虫歯部分を削り、詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)で修復
- ポイント:この段階では、神経へのダメージが進行する可能性があるため、早期治療が重要
C3(神経まで達した虫歯) ~ 激しい痛みを伴う
- 症状:歯髄(神経)に炎症が起こり、ズキズキとした激痛を感じる
- 治療法:根管治療(歯の神経を除去し、根管を消毒・充填)を行う
- ポイント:放置すると感染が広がり、歯根破折や根尖病変を引き起こす
C4(歯根だけが残った虫歯) ~ 抜歯が必要になることも
- 症状:歯の大部分が崩壊し、根だけが残る
- 治療法:多くのケースで抜歯が必要だが、状態によっては根管治療で保存可能
- ポイント:この段階に至る前に、適切な治療を受けることが極めて重要
虫歯を防ぐためにできること
- 毎日の適切なブラッシング
– フッ素入り歯磨き粉を使用し、適切な歯磨き習慣を維持
– 歯間ブラシやデンタルフロスを併用し、歯と歯の間の清掃を徹底 - 定期的な歯科検診とクリーニング
– 3~6ヶ月に1回の歯科検診で早期発見・早期治療
– GBT(Guided Biofilm Therapy)を活用したプラークコントロール - 食生活の管理
– 砂糖の摂取を控え、食後はすぐに口をすすぐ
– キシリトール入りガムの活用で、虫歯菌の活動を抑える - 唾液の分泌を促進
– よく噛んで食事をし、唾液の分泌を増やす
– 口腔の乾燥を防ぐために、こまめな水分補給を行う
虫歯は、適切な予防と早期発見・治療によって完全に防ぐことが可能な疾患です。毎日のケアと定期検診を徹底し、一生涯健康な歯を守りましょう。