セレックプライムスキャン導入で精密な歯型のスキャンと適合の良いセラミック・ジルコニア技工物の作成

院長より
*歯科治療において、補綴物(詰め物・被せ物)の適合性は、治療の成功率を大きく左右します。従来の印象材を用いた歯型採取では、微細な誤差が生じやすく、補綴物の適合精度が低下することがありました。その結果、「二次う蝕」や「噛み合わせのズレ」が生じ、補綴物の脱離や再治療が必要になるケースが少なくありません。この問題を解決するために、当院では「セレック プライムスキャン(CEREC® Primescan)」を導入し、従来の方法では得られなかった高精度のスキャンデータを用いた補綴治療を実現しています。このページでは、再治療にならないための精密な補綴治療の重要性、セレックプライムスキャンの特徴、適合の良いセラミック・ジルコニア技工物の作成方法、そして再治療を防ぐためのポイントについて詳しく解説します。

再治療の原因とは? ~ 不適合な補綴物が引き起こす問題

補綴治療後、再治療が必要になる主な原因は、不適合な補綴物が原因となることが多く、適切な治療が行われていないと、再発リスクが高まります。ここでは、再治療の主要な原因について解説します。

補綴物の適合不良(微細な隙間やズレ)

補綴物の適合精度が低いと、歯と修復物の間に微細な隙間(マイクロギャップ)が生じます。この隙間に細菌が侵入すると、二次う蝕(補綴物の下で発生するむし歯)のリスクが高まり、補綴物の脱落や歯の崩壊につながる可能性があります。

  • 従来の印象材を用いた型取りでは、変形やズレが生じやすい
  • 適合不良の補綴物は、むし歯再発や歯周病の原因となる

噛み合わせ(咬合)のズレ

補綴物の高さや形が適切でないと、噛み合わせのズレ(咬合不調和)が生じます。噛み合わせがズレると、特定の歯に過剰な力が加わり、歯の破折・知覚過敏・顎関節症の原因となる可能性があります。

  • 従来の方法では、咬合調整の精度に限界がある
  • 適合の悪い補綴物は、隣接歯や対合歯に悪影響を及ぼす

セレックプライムスキャン(CEREC® Primescan)とは?

セレックプライムスキャンは、最新の光学スキャン技術を活用した、超高精度の口腔内スキャナーです。従来の印象材を使用した型取りとは異なり、わずか数分で歯列全体をデジタルスキャンし、誤差の少ない3Dデータを取得できます。

セレックプライムスキャンの精度の高さ

従来の印象採取と比較すると、セレックプライムスキャンの精度は格段に向上しています。

項目 従来の印象採取 セレックプライムスキャン
精度 約50~100μmの誤差 5~20μmの超高精度
作業時間 10~15分 約1~2分
患者の負担 嘔吐反射を起こす可能性 不快感が少ない
適合精度 微細なズレが生じやすい ほぼ誤差なし

セレックプライムスキャンによる精密補綴治療の流れ

セレックプライムスキャンを用いた補綴治療の流れは、以下の通りです。

口腔内スキャン

  • わずか数分で歯列全体をスキャン
  • リアルタイムで高精細3Dデータを取得

デジタル補綴設計(CAD)

  • スキャンデータをもとに、精密な補綴物をデジタル設計
  • 咬合調整や補綴形態をミクロン単位で最適化

セラミック・ジルコニア補綴物の作成(CAM)

  • セレックミリングマシンを用いて、高精度な補綴物を削り出し
  • 高耐久のセラミック(E-max)やジルコニアで作製

セレックプライムスキャンによる治療のメリット

セレックプライムスキャンを活用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 適合精度が高く、二次う蝕を防ぐ
  • 咬合調整が精密に行え、噛み合わせのズレが少ない
  • セラミック・ジルコニア技工物の耐久性が高く、長期間の使用が可能
  • デジタルワークフローによる治療期間の短縮

まとめ 〜 精密な補綴治療で再治療を防ぐ

セレックプライムスキャンを活用することで、補綴物の適合性が飛躍的に向上し、再治療のリスクを最小限に抑えることが可能です。精密なスキャンと高適合の補綴物で、患者の歯を長く守るために、最新のデジタル技術を活用した治療を受けることが重要です。