
顎関節症の治療 ~ 症状の原因と最新の治療法を徹底解説
院長より

顎関節症は放置すると慢性化し、頭痛・肩こり・耳鳴り・めまいなど全身症状を引き起こすこともあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。顎の痛み、口の開閉時の異音、開口制限が主な症状で、噛み合わせの乱れ、ストレス、歯ぎしり・食いしばりが原因となることが多い特徴があります。重症化すると、食事や会話にも支障をきたす可能性があります。このページでは、顎関節症の原因、症状の分類、診断方法、治療法、セルフケア、予防策、専門治療の最新技術について詳しく解説します。
1. 顎関節症の原因
噛み合わせの異常
歯並びの乱れや不適切な補綴物(詰め物・被せ物)が原因で顎関節に負担がかかるケースがあります。
特に奥歯の噛み合わせが低くなると、顎が後方に押され関節に負担が生じるため、適切な噛み合わせの調整が必要になります。
- 歯並びの乱れや補綴物の影響で、顎関節に負荷がかかる
- 特に奥歯の高さが低くなると、関節が圧迫され痛みが生じる
歯ぎしり・食いしばり
無意識のうちに強い力が加わり、顎関節に過剰な負荷がかかることがあります。
特にストレスが原因で就寝中に歯ぎしりが強くなることが多く、顎関節の負担が蓄積します。
- 就寝中の歯ぎしりが原因で関節に負担がかかる
- 食いしばりによる慢性的な筋肉の緊張が関節に悪影響を及ぼす
ストレスや姿勢の問題
精神的な緊張により、咀嚼筋が持続的に緊張し、顎関節に負担がかかることがあります。
また、デスクワークなどで前屈みの姿勢が続くと、顎の位置がずれやすくなります。
- 精神的ストレスが筋肉を緊張させ、関節への負担を増加させる
- 不適切な姿勢が顎の位置を変え、関節症を誘発する
外傷や手術後の影響
交通事故やスポーツによる外傷で顎関節を痛めることがあります。
また、親知らずの抜歯後に噛み合わせが変化し、顎関節症を発症するケースも報告されています。
- 顎への強い衝撃が原因で関節の動きに異常が生じる
- 歯科治療後の噛み合わせの変化が顎関節症の引き金となる
2. 顎関節症の症状と分類
顎関節症の主な症状
- 口を開けると顎が痛む(関節痛・筋痛)
- 口を開けると「カクカク」「ジャリジャリ」と音が鳴る(関節雑音)
- 口を大きく開けられない(開口障害)
- 噛み合わせの違和感、耳鳴り、めまい、肩こり
顎関節症の分類(日本顎関節学会分類)
顎関節症のタイプ | 特徴 |
---|---|
Ⅰ型(咀嚼筋障害) | 筋肉の緊張や炎症による痛み |
Ⅱ型(関節包・靭帯障害) | 関節を支える靭帯や組織の炎症 |
Ⅲ型(関節円板障害) | 関節円板のズレや変形によるクリック音 |
Ⅳ型(変形性関節症) | 関節の骨が変形し、痛みや動きの制限がある |
3. 顎関節症の診断方法
触診と問診
- 顎の動きを確認し、痛みの有無・関節音の有無を診断
- 食生活・生活習慣・ストレスの影響を問診でチェック
画像診断
- 歯科用CT・MRIを用いて顎関節の構造を詳細に確認
- 関節円板のズレや骨の変形の有無を診断
咬合分析
- 不適切な噛み合わせが顎関節に負担をかけているかを分析
4. 顎関節症の治療法
保存療法(非外科的治療)
- 咬合調整:歯の高さや噛み合わせを調整し、顎の負担を軽減
- スプリント療法:マウスピースを装着し、歯ぎしり・食いしばりの影響を抑える
- 理学療法(ストレッチ・マッサージ):顎周囲の筋肉をほぐし、関節の動きを改善
- ボツリヌス治療(ボトックス注射):過剰な筋緊張を緩和し、痛みを軽減
薬物療法
- 鎮痛剤・筋弛緩剤:炎症や筋肉の緊張を和らげる
- 抗不安薬:ストレスが関与している場合に使用
外科的治療(手術)
- 関節腔洗浄(関節内注射):関節内部の炎症物質を除去
- 関節鏡手術:関節円板のズレを修正
- 開放手術:関節の変形が進行している場合に適応
5. セルフケアと予防方法
- 痛みがある時は硬いものを避け、柔らかい食事を心がける
- 顎のストレッチやマッサージを行い、筋肉の緊張を緩和
- 正しい姿勢を意識し、長時間のスマホ・パソコン作業を避ける
- 夜間の歯ぎしり対策として、ナイトガード(マウスピース)を使用
- ストレス管理を徹底し、リラックスする時間を確保する
6. まとめ ~ 顎関節症の治療は早期診断と適切な対策が鍵
- 顎関節症は多くの人が経験する疾患だが、適切な治療で改善が可能
- 保存療法を中心に、スプリント療法・理学療法・薬物療法を組み合わせる
- 重症例では外科的治療を検討し、専門医と連携して治療を進める
- セルフケアを徹底し、日常生活での予防を心がける
顎関節症の症状に悩んでいる方は、専門医の診断を受け、適切な治療を開始しましょう。