歯ぎしり・食いしばり（ブラキシズム）
歯ぎしり（Bruxism）や食いしばりは、無意識のうちに強い咬合力を加える習慣性の癖であり、歯や顎関節、筋肉に大きな負担をかける要因となります。多くの人が自覚していないうちに行っており、特に睡眠中の歯ぎしりは自分で気づくことが難しいため、症状が進行しやすいのが特徴です。ブラキシズムは、歯の摩耗・歯の破折・顎関節症のリスクを高める可能性があり、噛む力は通常時の3〜10倍以上になり、歯や歯周組織にダメージを与える可能性が高くなります。原因はストレス・噛み合わせの異常・生活習慣・神経系の異常など多岐にわたります。このページでは、ブラキシズムの種類・原因・影響・診断・治療・予防法について、最新の研究と臨床データを基に詳細に解説します。ブラキシズム（歯ぎしり・食いしばり）の種類と特徴
ブラキシズムには、大きく分けて以下の3種類があります。
グラインディング（Grinding）～ 歯を擦り合わせる歯ぎしり
歯ぎしりの中で最も一般的なのがグラインディングです。上下の歯を強く擦り合わせることで、エナメル質が摩耗し、歯が短くなってしまうことがあります。特に就寝中に無意識に行われるため、自覚症状がないことが多く、朝起きたときに顎の疲れを感じる人も少なくありません。
- 特徴：睡眠中に上下の歯を強く擦り合わせる動作
- 歯の表面が削れ、摩耗が進む（咬耗症）
- 歯のエナメル質が失われ、知覚過敏や歯の破折につながる
クレンチング（Clenching）～ 強く噛みしめる食いしばり
クレンチングは、音を伴わずに上下の歯を強く咬みしめるタイプのブラキシズムです。日中の仕事中や集中しているときに無意識に行われることが多く、気づかないうちに顎関節や歯に大きな負担をかけてしまいます。
- 特徴：無意識のうちに上下の歯を強く咬みしめる
- 歯ぎしり音がしないため、気づきにくい
- 顎関節に大きな負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクがある
タッピング（Tapping）～ 歯をカチカチ鳴らす
タッピングは、上下の歯を素早く打ち鳴らすブラキシズムの一種で、比較的まれですが、顎関節への影響が大きいタイプです。特に緊張しているときやストレスがかかったときに発生しやすく、無意識に続けてしまうことが多いです。
- 特徴：上下の歯を素早く打ち鳴らす（瞬間的な歯ぎしり）
- 比較的少ないが、顎関節への負担が大きい
- 睡眠中や緊張時に起こりやすい
ブラキシズムの主な原因
ブラキシズムの原因は多岐にわたり、心理的要因や生活習慣の影響が大きいとされています。特にストレスは大きな要因となり、日常生活の中で歯ぎしりを引き起こすことが少なくありません。
ストレス・心理的要因
ストレスが交感神経を刺激し、無意識に歯ぎしりを誘発することがあります。特に睡眠中のブラキシズムは、日中のストレスと深く関連していることが多く、ストレスのコントロールが重要です。
- ストレスが交感神経を刺激し、無意識に歯ぎしりを誘発
- 仕事のプレッシャー、不安、緊張がリスクを高める
- 夜間の睡眠時ブラキシズムは、日中のストレスと関連が深い
- 夕食に白米、麺類、砂糖などのGI値が高い食品（血糖値を速く上げやすい食品）を多く摂ると、睡眠中のブラキシズムを誘発しやすい
ブラキシズムが引き起こす影響とリスク
ブラキシズムが慢性的に続くと、歯や顎関節だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼします。特に頭痛や肩こりを引き起こし、生活の質を低下させることもあります。
歯の摩耗・破折
歯ぎしりが続くと、歯のエナメル質が削れ、象牙質が露出してしまいます。その結果、知覚過敏が悪化し、歯の破折や亀裂が生じるリスクが高まります。
- 歯ぎしりによる咬耗（摩耗）が進行し、歯が短くなる
- エナメル質が削れ、象牙質が露出し、知覚過敏が悪化
- 長期的にダメージが蓄積し、歯の破折や亀裂が生じる
ブラキシズムの治療と予防法
ブラキシズムの治療には、ナイトガードやストレス管理、ボツリヌス治療（ボトックス注射）などが有効とされています。症状に応じた適切な治療法を選択することが大切です。
ナイトガード（スプリント療法）
ナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりによるダメージを防ぐためのマウスピースです。睡眠中に装着することで、歯への負担を軽減し、顎関節症のリスクも低下させることができます。
- マウスピースを装着し、歯の摩耗や破折を防ぐ
- 顎関節への負担を軽減し、筋肉の緊張を緩和
- 症例に応じて、ハードタイプ・ソフトタイプを選択
まとめ ～ ブラキシズムの早期対策が歯と健康を守る
- 歯ぎしり・食いしばり（ブラキシズム）は、歯や顎関節に深刻な影響を及ぼす
- ストレス・咬合異常・生活習慣など、原因は多岐にわたる
- ナイトガード・咬合調整・ストレスマネジメント・ボツリヌス治療などが有効
「無意識の歯ぎしり・食いしばりが、歯の寿命を縮める原因になりうる」
早期に適切な治療・予防を行い、健康な歯と顎関節を守りましょう！