
意図的再植 ~ 抜歯を回避して歯を残すための高度な治療法
院長より

特に、根管治療(歯の神経治療)では改善が難しいケースや、歯根の先端に病変があるケースにおいて、意図的再植が有効な選択肢となる場合があります。当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いた精密診断と、ラバーダム防湿を徹底した処置により、成功率の高い意図的再植を提供しています。本ページでは、意図的再植の詳細、適応症例、治療の流れ、成功率を高めるためのポイントについて解説します。
1. 意図的再植の適応症例と利点
① 意図的再植が適応されるケース
意図的再植は、以下のような状況で適用されることが多いです。
- 通常の根管治療では治癒が困難な歯
- すでに根管治療を受けているが、再発してしまった場合
- 追加の根管治療が難しい場合(根管が閉塞している、形態が複雑)
- 歯根の先端に病変があるケース
- 根尖病変(根の先端にできる膿の袋)
- 根尖周囲の骨吸収が進行している場合
- 外科的なアプローチが必要なケース
- 歯根端切除術(根の先端を切除する手術)が適応できないケース
- 周囲の骨量が十分にあり、再植が可能な場合
- 歯の保存が望ましいが、他の治療が難しい場合
- インプラントやブリッジを避けたい
- 歯をできるだけ長持ちさせたい
② 意図的再植のメリット
項目 | 意図的再植 | 通常の根管治療 | インプラント |
---|---|---|---|
歯の保存 | 可能 | 可能(成功率に制限あり) | 不可能(人工歯) |
治療期間 | 比較的短い | 長くなることがある | 数ヶ月~1年以上 |
外科的侵襲 | 低い(比較的小さい手術) | なし | 高い(外科処置が必須) |
骨吸収のリスク | 低い | 低い | 高い(抜歯後、骨吸収が進行しやすい) |
2. 意図的再植の治療の流れ
① 精密診断
- CT撮影を用いた根尖病変の評価
- マイクロスコープを用いた破折・病変の確認
- 患者様の歯根の状態を正確に分析し、適応を判断
② 歯の抜歯(外科的処置)
- マイクロスコープを用いた精密な抜歯操作
③ 歯根の処置
- 根尖切除(歯根の先端部分を切除)
- 逆根管充填(MTAセメントを用いた封鎖処置)
- 破折がある場合は、接着治療を実施
④ 歯の再植
- 元の位置に正確に戻す
- 数週間固定し、歯根膜の回復を促す
⑤ 術後の管理と経過観察
- レントゲンやCTで骨の治癒を確認
- 必要に応じて咬合調整を行い、再発を防ぐ
3. 意図的再植の成功率と長期的な予後
① 成功率
意図的再植の成功率は約80~90%と報告されており、適切な手技と術後管理を行うことで、高い確率で歯を残せる可能性があります。
② 治療後のリスク
- 再感染の可能性 → 定期的なメンテナンスが必要
- 骨吸収のリスク → 咬合管理が重要
- 再植後の歯根膜の再生 → 適切な固定と経過観察が必要
4. まとめ ~ 意図的再植で天然歯を残す選択肢を
意図的再植は、従来であれば抜歯が避けられなかった歯を保存できる可能性がある、画期的な治療法です。当院では、マイクロスコープ、ラバーダム防湿、MTAセメントなどの最新技術を駆使し、精密な意図的再植治療を提供しています。
「抜歯を避けたい」「歯をできるだけ残したい」とお考えの方は、ぜひ当院へご相談ください。