接着治療 ~ 被せ物をする前の接着操作へのこだわり

院長より
*被せ物(クラウン)や詰め物(インレー・アンレー)の耐久性と機能性を最大限に高めるためには、接着操作の精度が極めて重要です。接着治療が適切に行われなければ、被せ物が外れやすくなったり、むし歯が再発したりするリスクが高まります。接着操作は、単に歯に材料を貼り付ける作業ではありません。適切な前処理(歯面処理)、接着システムの選択、正確な術式が、被せ物の長期的な安定性を決定します。当院では、ラバーダム防湿を必須とし、マイクロスコープを活用した精密な接着操作を徹底しています。本ページでは、接着治療の基礎、適切な接着操作の流れ、当院のこだわりについて詳しく解説します。

1. 接着治療とは?従来の合着との違い

① 接着治療と合着の違い

接着治療とは、歯と補綴物(被せ物・詰め物)を分子レベルで結びつける技術です。従来の治療では「合着」と呼ばれる手法が主流でしたが、接着治療とは大きな違いがあります。

項目 合着(従来法) 接着治療(最新技術)
固定方法 機械的な維持力(歯の形状で維持) 化学的な分子結合
歯の削除量 多い(形態的に固定するため) 少ない(MI治療と両立可能)
耐久性 劣化しやすく、長期間で剥がれる 高耐久で長期安定
再発リスク 被せ物が外れたり、二次むし歯のリスクが高い 二次むし歯のリスクを抑えられる

従来の「合着」では、接着力が弱いために、被せ物が外れたり、内部で二次むし歯が進行してしまうことがありました。しかし、適切な接着操作を行うことで、歯と補綴物を強固に結びつけ、長期的な安定性を確保できます。

2. 被せ物をする前の接着操作の流れ

① ラバーダム防湿の徹底

  • 治療部位を唾液・細菌から隔離し、無菌状態を確保
  • 歯面を完全に乾燥させ、接着操作の精度を最大限に向上
  • 接着剤の耐久性を高め、長期間の安定性を確保

② 歯面処理

歯の表面を適切に処理することで、接着剤の性能を最大限に発揮させます。

  • エッチング(酸処理)
    エナメル質にはリン酸エッチング(35~40%リン酸)を施し、細かい凹凸を作ることで接着力を向上。
  • プライミング(親水性と疎水性のバランス調整)
    10-MDPなどのリン酸モノマーを含むプライマーを使用し、歯と補綴物の化学結合を強化。
  • ボンディング(接着剤の塗布)
    ハイブリッドレジン系のボンディング剤を均一に塗布し、光照射で重合させて密着性を高める。

③ 補綴物(被せ物・詰め物)の処理

  • セラミックの前処理
    シランカップリング処理により、セラミックと接着剤の化学的結合を強化。
  • ジルコニアの前処理
    サンドブラスト処理(アルミナ粒子による表面粗面化)+ 10-MDP系プライマー処理で化学的接着を強化。

④ セメントの選択

  • レジンセメント(コンポジットレジン)
    高い接着強度を誇り、審美性にも優れる。
  • MTAセメント(バイオセラミック系)
    根管治療後の支台歯に使用し、強固な封鎖性と生体親和性を実現。

3. 当院の接着治療へのこだわり

① すべての接着治療にラバーダム防湿を徹底

  • 唾液や湿気の影響を完全に排除し、接着精度を最大限に向上
  • 細菌の混入を防ぎ、治療の成功率を高める

② マイクロスコープを活用した精密な接着処理

  • 肉眼では見えないレベルの接着操作を可能にする
  • ボンディング剤やプライマーの塗布を均一にし、接着力を最適化

4. まとめ ~ 接着治療の精度が歯の寿命を左右する

適切な接着治療を行うことで、被せ物や詰め物の耐久性が向上し、長期的に歯を健康に保つことが可能になります。当院では、ラバーダム防湿、マイクロスコープを活用した精密な接着操作を標準化し、最高水準の接着治療を提供しています。

「被せ物が長持ちする治療を受けたい」「接着治療の成功率を高めたい」とお考えの方は、ぜひ当院へご相談ください。