いかに予防するか。いかに低侵襲な治療をするか。いかに再治療にならない様にするか。いかに歯を支える骨が失われない様にするか。歯を長持ちさせるための大切なこと。
院長より
歯科医療の本質は、「悪くなった歯を治すこと」ではなく、「健康な歯をできるだけ長持ちさせること」にあります。しかし、多くの患者様は痛みが出たら治療を受ける、むし歯や歯周病が進行したら削る・抜くという”対症療法”を繰り返し、最終的には歯を失ってしまうケースが多いのが現実です。むし歯・歯周病を予防することが最も重要、治療が必要な場合でも、低侵襲な方法を選択することで歯の寿命を延ばせる、再治療を防ぐことが長期的に歯を残すための鍵、歯を支える骨（歯槽骨）を守ることが歯の安定性を維持する上で不可欠であることなど、このページでは、歯を長持ちさせるために重要な「予防」「低侵襲治療」「再治療の防止」「骨の保護」の4つの視点から、科学的根拠に基づいた最適なアプローチを詳しく解説します。
1. いかに予防するか ～「治療しないで済む状態」を作る
予防歯科の考え方 ～ スウェーデン型メインテナンスの重要性
スウェーデンやアメリカなどの歯科先進国では、「治療よりも予防が最優先」という考え方が根付いており、80歳時点での残存歯数が日本よりも圧倒的に多いことが知られています。
| 国 | 定期検診受診率 | 80歳時点の残存歯数 |
|---|---|---|
| スウェーデン | 約90% | 20本以上 |
| アメリカ | 約75% | 17～19本 |
| 日本 | 約20% | 10～12本 |
- 定期的なメインテナンスを受けることで、むし歯・歯周病のリスクを90%以上低減できる
- スウェーデンでは、むし歯の発生率がほぼゼロになるほど予防が徹底されている
「むし歯・歯周病は”予防できる病気”であり、治療するよりも予防する方が圧倒的に効果的」
バイオフィルムの管理 ～ GBTメインテナンスの活用
- 歯科医院での定期的なバイオフィルム除去（エアフローなど）
- 唾液検査によるリスク評価と、患者ごとの適切な予防プログラムの提供
- フッ素・キシリトール・CPP-ACP（リカルデント）による再石灰化の促進
2. いかに低侵襲な治療をするか ～ 歯の寿命を延ばすための治療戦略
MI（Minimal Intervention）治療の実践
- むし歯治療では、拡大視野（マイクロスコープ）を用い、健全な歯質を最大限保存
- エッチング・ボンディング技術の進化により、コンポジットレジン修復を活用する
- MTA（ミネラルトリオキサイドアグリゲート）による歯髄保存治療
「削る量を最小限にすることで、歯の構造を温存し、長期的な耐久性を高める」
精密根管治療（マイクロエンド）の活用
- ラバーダムを用いた無菌的処置で、再感染リスクを最小限に
- MTAセメントで封鎖し、根管治療の成功率を向上させる
3. いかに再治療にならない様にするか ～ 長期的な安定を目指す
被せ物の適合精度を最大限に高める
- シリコン印象・光学スキャナーを活用し、誤差を最小限に抑える
- セレックプライムスキャンによるCAD/CAM精密補綴
咬合（噛み合わせ）の調整
- 歯ぎしり・食いしばりを考慮したナイトガードの活用
「補綴治療の精度を上げ、咬合を安定させることで、再治療のリスクを最小限に」
4. いかに歯を支える骨が失われない様にするか
歯周組織再生療法（歯槽骨の再生）
- エムドゲイン（Emdogain）を活用した歯周組織再生
- GTR法（組織誘導再生）で骨の回復を促す
- 骨移植術（自家骨・人工骨）による歯槽骨の補填
歯周病菌のコントロール
- 抗菌薬療法（アジスロマイシン）を併用し、歯周病菌の活動を抑制
「歯を支える骨を守ることで、歯の寿命を延ばすことができる」
5. まとめ ～ 歯を長持ちさせるために今できること
- むし歯・歯周病は予防できる病気であり、定期メインテナンスが最も重要
- 低侵襲治療（MI治療・精密根管治療）を行い、歯の構造を可能な限り温存する
- 補綴治療の適合精度を最大限に高め、再治療のリスクを最小限に抑える
- 歯を支える骨を守ることで、歯の寿命を最大化する
「”治療”ではなく、”守る”ための歯科医療を実践し、歯を一生涯健康に保ちましょう！」